病院案内
病院指針
患者さまの権利
医療法人 創和会 しげい病院は、創立者・重井博の「病に苦しむ“人”を救う」という精神のもと「生きることの尊さと健康であることの幸せをすべての人と共に」を基本理念とし、地域社会に信頼される医療機関となることを目指して病院を運営して参りました。
私たち職員は、創立者の精神を生かし、患者さま本位の医療を提供していくため、患者のみなさまの基本的権利を明確にすることが重要であると認識し、ここに全職員が日々努力し、到達すべき実施目標として患者のみなさまに公表したいと思います。
1)人権を尊重される権利
患者さまは、ひとりの人間として、その人格、価値観などを尊重されます。
2)良質な医療を公平にうける権利
患者さまには、だれでも、そしてどのような病気にかかった場合でも、良質な医療を公平に受ける権利があります。
3)説明を受ける事と自己決定ができる権利
患者さまには、十分な説明と情報提供を受けたうえで、治療方法などを自らの意思で選択する権利があります。医療行為の選択にあたっては、当院の治療方針について、他の医療機関の意見(セカンド・オピニオン)を聞くことができます。
4)プライバシーの保護と秘密保持の権利
患者さまには、診療の過程で得られた個人情報の秘密が守られ、病院内での私的な生活を可能な限り他人にさらされず、乱されない権利があります。
患者のみなさまへのお願い(患者さまの義務)
患者さまには、自らの健康に関する情報を職員に正確に提供し、職員と協調、協力して健康維持に努める義務があります。又他の患者さまの診療に支障をきたさないようご協力をお願いします。
院内感染対策指針
1.院内感染対策指針の目的
この指針は、院内感染の予防・再発防止策及び集団感染事例発生時の適切な対応など当院における院内感染対策体制を確立し、適切かつ安全で質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とする。
2.院内感染対策に関する基本的な考え方
1)院内感染対策に関する基本的な考え方
当院の院内感染対策は、医療機関においては感染症の患者と感染症に罹患しやすい患者とが同時に存在していることを前提に、手厚い医療的なケアを行う際に必然的に起こりうる患者・職員への感染症の伝播リスクを最小化するとの視点に立ち、全ての患者が感染症を保持し、かつ罹患する危険性を併せ持つと考えて対処する「スタンダードプリコーション」の観点に基づいた医療行為を実践する。あわせて感染経路別予防策を実施する。
個別および病院内外の感染症情報を広く共有して院内感染の危険および発生に対して迅速に対応することを目指す。
また、院内感染が発生した事例については、速やかに補足、評価をして、事例を発生させた感染対策システム上の不備や不十分な点に注目し、その根本原因を究明し、これを改善していく。
更に、院内感染事例の発生頻度を、院外の諸機関から公表される各種データと比較し、わが国の医療水準を上回る安全性を確保して患者に信頼される医療サービスを提供して、医療の質向上に寄与することを基本姿勢とする。
こうした基本姿勢をベースにした院内感染対策活動の必要性、重要性を全部門及び全職員に周知徹底し、院内共通の課題として積極的な取り組みを行う。
2)院内感染対策委員会
当院感染対策に関する院内全体の問題点を把握し改善策を講じるなど院内感染対策活動の中枢的な役割を担うために、院内の組織横断的な院内感染対策委員会を設置する。
院内感染対策委員会(委員会)は、病院長、特任部長、内科部長、看護部長、安全管理室課長、事務部門の責任者、薬剤部門の責任者、検査部門の責任者の8名で構成する。
下部組織に感染対策チーム(ICT)および感染対策部会(部会)を置き、部会は各部署1名以上の者で構成する。
委員会および部会は毎月1回開催する。また、必要な場合委員長は臨時委員会を開催することができる。
感染対策委員会の委員長は、病院長が指名する。
委員会は感染に関する対策を要する事案解決のための方策を策定する。また委員会が必要と認めるときは、委員以外の会議への出席を求め、意見の聴取又は資料の提出を求めることができる。
所掌業務は
- 院内感染の発生を未然に防止する予防対策に関すること。
- 院内感染が発生した場合における緊急対策に関すること。
- 院内感染に関連し、職員の健康管理に関すること。
- 院内感染防止のために必要な職員教育に関すること。
- その他必要と認められる事項。
とする。
3)院内感染対策に関する職員研修についての基本方針
ICTは研修会・講習会を年2回以上開催する。
研修会・講習会は院内感染に関する教育と実習とを行い、必要に応じて、全職員対象、各部門代表を対象とするもの、特定の部門を対象にするものとする。また、院外の感染対策を目的とした各種学会、研修会、講習会の開催情報を広く告知し、参加希望者の参加を支援する。
4)感染症の発生状況の報告に関する基本方針
院内感染とは、病院内で治療を受けている患者が、原疾患とは別に新たな感染を受けて発病する場合を指す。なお、病院に勤務する職員が院内で感染する場合も含まれる。
ICTは週に1回委員が院内ラウンドを行い、リスク事例の把握、評価、周知、対策、指導を行い、特記事項は部会に報告する。
当院の感染情報レポートから細菌の検出状況を把握し、委員会報告する。
5)院内感染発生時の対応に関する基本方針
職員は、院内感染が発生した場合には、発生部署責任者が院内感染対策委員長に報告し、別紙「院内感染発生時連絡経路」によって連絡をし、内容によって緊急委員会を設置し、二次感染の予防、治療の方針・指示をする。また、医療に関する法律に規定される診断及び届出は基準に沿い担当医師が行う。
6)当院の院内感染対策指針の閲覧に関する基本方針
本指針は、イントラネット上の文書管理で、全職員が閲覧できる。
7)その他
職員は、感染対策上の疑義が出た場合、委員会に意見を求めることができる。
医療安全管理指針
(注)医療法人創和会しげい病院においては、医療安全管理=リスクマネジメント(同義語)とする。
I.安全管理指針の目的
この指針は「医療法人創和会しげい病院」(以下、本院とする)における、医療事故の予防・再発防止対策ならびに発生時の適切な対応など、本院における医療安全体制を確立し、適切かつ安全で質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とする。
なお、しげい病院においては、医療安全管理はリスクマネジメントと同義語として取り扱う事とする。
II.安全管理に関する基本的な考え方
1)医療事故の現状認識
日本における医療事故紛争は、患者の権利意識の高揚や医療の高度化・複雑化等により、増加傾向であり、本院においても患者の安全確保の観点から医療事故の予防・再発防止対策を推進することは極めて重要な取り組みである。
2)医療安全に関する基本姿勢
本院の医療安全活動においては、「人間はエラーを犯すもの」という観点に立ち、医療事故を起こした個人の責任を追及するのではなく、医療事故を発生させた安全管理システムの不備や不十分な点に注目し、その根本原因を究明し、これを改善していくことを主眼とする。
また、「常に、医療事故を絶対に防ぐのだ。」という強い信念のもと、患者に信頼される医療サービスの提供と医療の質の向上を求めていくことを本院の医療安全の基本姿勢とする。
こうした基本姿勢をベースにした医療安全活動の必要性、重要性を全部署及び全職員に周知徹底し、院内共通の課題として積極的な取り組みを行う。
3)安全管理の具体的な推進方
1.安全管理体制の構築
医療事故予防ならびに事故発生時の緊急対応について、院内全体が有機的に機能するシステムとして整え、一元的で効率的な医療安全管理体制を構築する。
2.医療事故・インシデント等の報告制度の確立
医療安全意識の醸成と具体的な予防・再発防止策に資するため、医療事故やインシデントの情報収集、分析・評価、対策立案を的確に行う体制を構築する。
3.職員に対する安全教育・研修の実施
本院における医療安全に関する基本的な考え方や個別事案に対する予防・再発防止策の周知徹底のため、職員全員を対象にした教育・研修を計画的に実施する。
4.事故発生時の対応方法の確立
事故発生時には、患者の安全確保を最優先するとともに、事故の再発防止策を早期に検討、職員に周知徹底する。
4)用語の定義
本院で使用する用語の定義は以下のとおりとする。
1.医療事故
医療に関わる場所で、医療の全過程において発生するすべての人身事故で、以下の場合を含む。なお、医療従事者の過誤、過失の有無は問わない。
a.死亡、生命の危機、病状の悪化等の身体的被害及び苦痛、不安等の精神的被害が生じた場合
b.患者が廊下で転倒し、負傷した事例のように、医療行為とは直接関係しない場合
c.患者についてだけでなく、注射針の誤刺のように、医療従事者に被害が生じた場合
2.医療過誤
医療事故の一類型であって、医療従事者が、医療の遂行において、医療的準則に違反して患者に被害を発生させた行為。
3.エラー
人間の行為が、行為者自身が意図したものでない場合、規則に照らして望ましくない場合、第三者からみて望ましくない場合および客観的水準を満足しない場合などにおいて、その行為を「エラー」という。
4.インシデント
患者に被害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場で「ヒヤリ」「ハット」した経験、具体的には、ある医療行為が、
a.患者には実施されなかった、仮に実施されたとすれば、何らかの被害が予測される場合
b.患者には実施されたが、結果的に被害がなく、またその後の観察も不要であった場合
等を指す。
III.安全管理体制の構築
本院における医療事故防止ならびに事故発生時の緊急対応について、院内全体が有機的に機能し、一元的で効率的な安全管理体制を構築することで、安全かつ適切な医療サービスの提供を図る。
統括医療安全管理者、医療安全管理室、医療安全管理者の配置
医療安全管理の推進のために、統括医療安全管理者(副院長:兼務)の下に、医療安全管理室を置き、医療安全管理者(専従)を室長とし、診療部門・薬剤部門・看護部門・事務部門から1名以上の専任の職員を配置する。さらに各部門の診療科および各看護単位においては、リスクマネジャーを配置する。
1)統括医療安全管理者の配置
医療安全統括責任者は、医療安全の総括的な責任を担い、原則として副院長とする。
2)医療安全管理室の設置
- 医療安全管理委員会で決定された方針に基づき、組織横断的に病院内の安全管理を担うため、医療安全管理室を設置する。
- 医療安全管理室は、医療安全統括責任者、医療安全管理者(専従)、医師、薬剤師、看護師、事務職員、その他必要な職員で構成される。
- 医療安全管理室の業務は以下の役割を担う。
① 医療安全確保のための業務
- 各部門からのインシデント・アクシデント報告書を基に問題点を抽出
- 業務改善計画書を作成
- 業務改善計画書を基に実施状況の確認
- 評価結果の記録
② 医療安全に係る以下の活動の記録に関すること
- 医療安全管理委員会(=リスクマネジメント委員会)との連携状態
- 医療安全に関する院内研修の実績(年2回以上)
- 患者等の相談件数、相談内容、相談後の取り扱い
- その他の医療安全管理者の活動実績
③ 医療安全対策に係る取り組みの評価に関すること
- 医療安全管理委員会(=リスクマネジメント委員会)構成員及び必要に応じて各部門の医療安全管理担当者等が参加する医療安全対策に係る取り組みの評価を行うカンファレンスの週1回程度の開催
④ 医療安全に係わる日常活動
- 医療安全に関する現場の情報収集及びラウンド表の管理
- マニュアルの作成と定期的な見直し
- インシデント・アクシデント報告書の電子カルテでの分析と評価、分析結果のフィードバック、具体的な改善策の提案と評価
- 医療安全に関する最新情報の把握と職員への周知
- 医療安全に関する職員への啓発と広報
- 医療安全管理に関わる連絡調整
⑤ アクシデント発生時の支援
- 診療録や看護記録等の記載、インシデント・アクシデント報告書の作成について、部署責任者に対する支援
- 患者や家族への説明など、重大なアクシデント発生時の対応状況についての確認と支援
- 医療安全管理委員会委員長(=リスクマネジメント委員会委員長)の招集指示を受け、事案の原因分析等のための臨時安全管理委員会を開催する
- 原因究明が適切に実施されていることの確認と指導
- インシデント・アクシデント報告書の保管
- 個人情報保護を含む秘匿性に関する指導と支援
3)医療安全管理者の配置
医療安全管理者は、病院長より医療安全管理のために必要な権限を移譲され、医療安全管理に係る実務を行い、医療安全を推進する。
- 医療安全管理者は、所定の医療安全管理者養成研修を終了し、医療安全に関する十分な知識を有する者とする。
- 医療安全管理者は、統括医療安全管理者の指示を受け、各部門のリスクマネジャーと連携・協働し、医療安全管理の業務をおこなう。
- 医療安全管理者は医療安全管理室の業務の内、以下の業務について主要な役割を担う。
① 医療安全管理室の業務に関する企画・立案及び評価
- 医療安全管理委員会(=リスクマネジメント委員会)、リスクマネジメント部会の運営・参画
- 医療安全管理のための指針を策定、見直し
- マニュアルの作成、遵守状況の監査、見直し
② 院内巡視
- 定期的な院内巡回の実施
- 各部門における医療安全対策の実施状況の把握と分析
- 業務改善の具体的な対策を業務改善計画書に記録し、定期的な評価の実施
③ 各部門のリスクマネジャーへの支援
④ 各部門との調整
⑤ 医療安全に関する院内職員研修の企画・実施
- 年2回以上の医療安全に関する院内職員研修の企画・実施
- 新規採用職員に対する研修の実施
- 事例検討等の参加型研修の提案
⑥ 医療安全に関する相談対応
- 患者サポート室と連携を図り適切な相談対応の実施
⑦ 医療安全に関する日常活動
- インシデントレポートのデータ集計及び分析
- 集計データの公表
- 具体的対応策の提案・推進とその評価
- 事例からの安全啓発と安全意識の啓蒙活動
- リスクマネジメントニュースの発行
- 感染防止対策室との連携
- 院内感染症の動向把握と各部署への情報提供、注意喚起
⑧ 医療事故発生時の指示・指導・対応
- 医療事故発生状況と対応状況の把握
- 即現場で実施が必要な指示の遂行
- 患者・家族への対応(説明・謝罪)状況の確認と必要な指導又は遂行
- 事故報告書の作成と事故分析・対策立案
- 医療紛争発生時の対応(必要書類の作成・情報収集・等)
4)医療安全管理委員会(=リスクマネジメント委員会)(以下「委員会」という)の設置
医療安全に関する院内全体の問題点を把握し改善策を講じるなど医療安全管理活動の中枢的な役割を担うために、院内の組織横断的な「委員会」を設ける。
1.医療安全管理委員会(=リスクマネジメント委員会)の委員
原則として委員会は、病院長、副院長、看護部長、事務責任者、その他委員会が必要と認める者で構成する。
2.委員長
委員長は、副院長とする。
3.委員会の所掌業務
- 医療安全対策の検討および推進に関すること
- 医療事故・インシデント等の情報収集に関すること
- 医療事故・インシデント等の分析および対策立案に関すること
- 医療安全対策のための職員に対する指示に関すること
- 医療安全対策のための啓発、教育、広報および出版に関すること
4.委員会の開催
委員会は、1ヶ月に1回開催する。また臨時委員会を開催することができる。なおその開催は、委員長が決定する。
5.参考人の招集
委員会が必要と認めるときは、関係職員ならびに関係業者の出席を求め、意見を 聴取することができる。
6.委員会の記録およびその他の庶務
委員会の開催記録および職員研修など医療安全活動に係る各種記録、その他の庶務は、リスクマネジメント部会長が行う。
7.委員会の下部組織
委員会は、医療安全活動を実効性のあるものにするため、委員会の下部組織として医療安全部会(=リスクマネジメント部会)を設置する。
リスクマネジメント部会は、週1回開催する。
5)職員の責務
職員は、業務の遂行に当たっては、常日頃から患者への医療、看護等の実施、医療機器の取扱いなどに当たって医療事故の発生を防止するよう、細心の注意を払わなければならない。
IV.安全管理のための院内報告制度
- 委員会は医療事故の予防・再発防止に資するため、医療事故ならびにインシデントの報告を制度化し、その収集を促進する。
- 医療事故ならびにインシデント事例を体験あるいは発見した医療従事者は、その概要を報告書(「医療事故報告書」または「インシデント報告書」)に記載し、翌日までに所属部署の責任者に報告する。
- 所属部署の責任者は、提出された「医療事故報告書」および「インシデント報告書」を所定の期日ごとに委員会に報告する。
- 医療事故ならびにインシデント報告書を提出した者あるいは体験した者に対し、報告提出を理由に不利益な処分を行わない。
- 委員会は「医療事故報告書」または「インシデント報告書」から院内に潜むシステム自体のエラー発生要因を把握し、リスクの重大性、リスク予測の可否、システム改善の必要性等の分析・評価をおこなう。
- 委員会は、上記の分析・評価に基づき、適切な事故予防策ならびに再発防止案を立案・実施する。
- 医療事故ならびにインシデント報告書は、リスクマネジメント部会長で保管する。
V.院内における安全管理活動の周知徹底
1)職員研修の定期開催
委員会は、医療安全管理に関する基本的な指針や医療事故予防・再発防止の具体的な方策を職員に周知徹底すること、および医療事故発生時の職員召集など緊急事態対応への習熟を目的にした職員研修・訓練について計画し定期的に(最低年2回)開催する。
2)実施記録
委員会は、医療安全管理に係わる職員研修の実施内容を所定の方法で記録する。その記録はリスクマネジメント部会長が保管する。
VI.医療事故発生時の具体的な対応
1)患者の安全確保
1.患者の救命処置・初期報告・医療事故が発生した場合は、患者に発生した障害を最小限にとどめるために、患者の安全確保を最優先し、医師、看護師等の連携の下、病院の総力を挙げて必要な治療を行う。
- 第一発見者の職員は、患者の側を離れず、他の職員に連絡し人員を確保する。
応援に駆けつけた職員が、リーダーと部署長へ連絡する。
部署長到着まで、役割分担を決め、患者の救命を最優先とする。
部署長は到着後情報収集を行い、現場指揮を行う。 - 事故発生部署の職員だけでは十分な緊急処置が行われないこともあるため、必要に応じ現場判断でDr.コール(平日 8:30~17:00 内線99番)要請をする。Dr.コール発令時は、医師と看護師は可能な限り参集、臨床工学部と検査健診部からも各1名以上は参集する。
例)○○部署、○○号室、ドクターコール 2回以上繰り返し放送 - 現場職員は患者救命に全力をあげる。
- 他院への転送が必要な場合は適時に転送する。
2)医療事故の報告
1.医療事故報告の対象
- 当該行為によって患者が死亡または死亡に至る可能性がある場合
- 当該行為によって患者に重大もしくは不可逆的傷害を与え、または与える可能性がある場合
- その患者等からクレームを受けた場合や医事紛争に発展する可能性がある場合
2.病院内における報告経路
- 医療事故発生時には、直ちに上司に報告する。報告を受けた上司は、医療上必要な指示を与え、以下のとおり速やかに医療事故担当責任者(副院長等)に報告する。
- 医師は、副院長(医療事故担当責任者)に報告する。
- 看護部門に所属する職員は、看護課長に報告し、看護部長を経由し医療事故担当責任者に報告する。
- 医療技術部門に所属する職員は、上司に報告し、部署長を経由し医療事故担当責任者に報告する。
- 事務部門に所属する職員は、係長・課長に報告し、事務部長を経由し医療事故担当責任者に報告する。
- 報告を受けた医療事故担当責任者は、委員会事務局(通常、事務部門の事務部次長)に報告する。また、事故の重大性・緊急性等を勘案し、必要に応じて院長に直接報告する。
- 患者の生死に関わる重大かつ緊急な場合は、上記経路を省略して医療事故担当責任者に報告することができる。
3.病院内における報告方法
報告は、医療事故報告書に記載し、速やかに行う。ただし、緊急を要する場合は、口頭で報告後、速やかに医療事故報告書を作成し、報告する。
3)患者と家族への説明
1.事故発生直後の家族等への連絡と、患者・家族等への説明
- 事故の発生を連絡する。
- 患者の家族や近親者が施設内に不在の場合は、直ちに自宅等の連絡先に連絡する。
- 患者・家族などの連絡相手や連絡日時等を記録する。
2.事故発生直後における患者・家族等への説明
- 患者・家族等への説明は、原則、管理職員(説明担当者)を含む複数の人数で対応し、必要に応じて担当医や上席医等が同席して対応する。
- 患者・家族等に対しては、最善を尽くし、誠心誠意治療に専念するとともに事故の事実経過について誠意をもって説明する。
- 説明後、説明者、説明を受けた人、説明時間、説明内容、質問・回答等を記録に残す。
3.患者からの相談への対応
病状や治療方針などに関する患者からの相談に対しては、担当者を決め、誠実に対応し、担当者は必要に応じ担当医、担当看護師等へ内容を報告する。
4)事実調査と施設としての統一見解
1.事実経過の整理、確認と施設としての事実調査
- 施設としての事実調査を行い、統一見解をまとめる
事故発生後、できるだけ早い時期に施設の管理者、事故関与者等の関係者が集まり、事実を詳細に調査・検討し、事故の原因や過失の有無等について施設としての統一見解をまとめる。 - その事実経過および統一見解を記録に残す
調査した事実及び施設としての統一見解等は文書として記録し、事務部門が保管する。 - 関連する診療記録等を確実に保管する
カルテや看護記録、X線フイルム等は事務部門で確実に保管する。
2.事実調査実施以降の患者さま、家族等への説明
- できるだけ早い段階で患者・家族等への説明機会を設定する
- 説明は複数人で対応する
事故に関与した診療科の関係者(診療科責任者等)の他、病院の管理者(副院長や事務部門の責任者等)が加わり、複数人で対応する。 - 説明時には記録に基づき、誠意をもって分かりやすく説明する
カルテなど記録に基づいて事実関係を慎重に説明する。憶測や個人的な見解は避けるようにする。専門用語や分かりづらい表現等は避け、図示したり、参考文献等を用いるなど患者側が理解できるように務める。 - 説明の記録を正確に残す
説明者以外に記録係を決めて、正確な記録を残す。
5)警察への届出
警察への届出は、医師法21条の規定に従い、所轄警察署に届出を行う。なお、届出に当たっては、事前に患者、家族等に承諾を得るものとする。
6)保健所への届出
保健所への届出は、以下を対象とする。
- 当該行為により患者を死に至らしめ、または死に至らしめる可能性があるとき
- 当該行為により患者に重大もしくは不可逆的な傷害を与え、または与える可能性があるとき
- その他患者等から抗議を受けたケースなど医事紛争に発展する可能性があると認められるとき
- 上記1~3には該当しないが、当該行為の重大性を勘案して院長が報告の必要があると認めるとき
7)事故の再発防止
医療事故発生後、できるだけ早い段階で、医療安全管理委員会(=リスクマネジメント委員会)等において、事故の再発防止について検討し、再発防止策を策定し、職員全員に徹底する。
VII.医療安全管理体制の患者への閲覧に関する事項
患者に対して、しげい病院の医療安全管理体制の指針を積極的に開示する。
医療安全管理体制についての、院内掲示をおこなう。
その内容の説明を求められたら、リスクマネジメント委員より回答をおこなう。
以上
附則
- 本、「医療法人創和会しげい病院における医療安全管理指針」は、2002年8月2日に作成、2002年9月1日より施行する。
- 本指針の内容はリスクマネジメント委員会にて、毎年度末に見直しを実施する。
- 改訂2003年4月1日
- 改定2010年9月1日
- 改定2015年6月10日
- 改定2019年4月1日
- 改定2019年7月10日
- 改定2022年3月10日
- 改定2024年5月8日
参考文献(医療事故報告の対象)
厚生労働省リスクマネジメントスタンダードマニュアル作成委員会「リスクマネジメントマニュアル作成指針」
情報セキュリティ基本方針
目的
昨今、医療機関に対するサイバー攻撃などが多数発生しており、医療提供体制の維持・継続に対する脅威となっています。社会医療法人創和会では、サイバー攻撃や自然災害などの脅威から医療提供体制や医療情報を守り、地域の皆様から信頼される医療機関で在り続けるために、情報セキュリティ対策を講じてまいります。よって、ここに「情報セキュリティ基本方針」を定め、社会医療法人創和会が情報セキュリティ対策を講じていくための基本的な方針を示します。
適用範囲
本「情報セキュリティ基本方針」は社会医療法人創和会の業務に従事する者、もしくは社会医療法人創和会の所有する全ての情報資産を対象といたします。
法令遵守
情報セキュリティに係る法規則を遵守し、医療機関としての責任を果たします。
体制整備
情報セキュリティを推進する体制を整備するとともに、情報セキュリティを統括する最高責任者を設置し、法人全体における情報セキュリティの向上に努めます。
規程類の整備
社会医療法人創和会が保有する情報資産をサイバー攻撃や災害などの脅威から保護するために、情報セキュリティに関する組織的な取り組みやルールを明文化し、情報セキュリティ管理規程として整備いたします。
情報セキュリティ対策への取組み
社会医療法人創和会は、情報セキュリティの確保にむけて適切な対策を講じます。また、インシデントが発生した際には、医療提供体制を最大限維持するために、その収束、早期復旧、再発防止に努めるとともに、外部機関に速やかに報告を行います。
教育
情報セキュリティ対策の重要性を全職員に対し周知徹底するため、定期的な教育を実施いたします。
継続的改善
社会医療法人創和会は、本「情報セキュリティ基本方針」及び情報セキュリティ推進体制、関連規程類の定期的な評価・見直しを行い、継続的な改善に努めます。
身体的拘束最小化対策の指針
1.身体的拘束最小化対策に関する基本的な考え方
身体拘束は、患者の自由を制限することであり、尊厳ある生活を阻むものです。当院では、患者の尊厳と主体性を尊重し、安易に拘束を正当化することなく、職員一人ひとりが拘束による身体的・精神的弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識をもち、患者または他の患者等の生命又は身体を保護するため緊急・やむを得ない場合を除き身体的拘束をしない診療・看護の提供に努めます。
2.身体的拘束最小化対策のための体制
身体的拘束最小化チームの設置
身体拘束適正化のために、身体的拘束最小化チームを設置し週1回ラウンド、カンファレンスを実施する。
1)チームの構成員
専任医師、専任看護師、介護福祉士、薬剤師、リハビリ職員、事務職員
2)チームの活動内容
1. 身体的拘束最小化に向けたラウンドを実施し現状把握を行う。
2. 身体的拘束最小化に向けたカンファレンスの実施
①3原則の再確認
②身体的拘束を開始した場合は、3原則の当該状況、代替案について検討
③患者の心身への弊害、拘束をしない場合のリスクを評価し、拘束解除に向けた検討
④意識啓発や予防策等の必要事項の確認・見直し
3. 発生原因、結果等を取りまとめ当該事例の適正化と適正化策の検討
4. 職員向け教育研修の企画・立案・実施
5. 定期的な指針の見直し
3.身体拘束廃止に向けての基本方針
(1)身体拘束の定義
身体拘束とは「本人の行動の自由を制限すること」である。
身体的拘束その他、入院患者の行動を制限する具体的行為にあたるものとして、厚生労働省が「身体拘束ゼロへの手引き(平成13年3月)」の中であげている行為を下に示します。
- 一人歩きしないように車いすや椅子、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
- 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
- 自分で降りられないように、ベッドを綱(サイドレール)で囲む
- 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る
- 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手装等をつける
- 車いすや椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける
- 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する
- 脱衣やオムツはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる
- 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッド等に体幹や四肢をひも等で縛る
- 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
(2)やむを得ず身体拘束を行う場合
患者または他の患者の生命または身体を保護するための措置として、以下の3つの要素の全てを満たす状態にある場合は、患者・家族への説明同意を得た上で例外的に必要最低限の身体的拘束を行うことがある。
- 切迫性:患者又は他の患者の生命又は身体を危険にさらさないこと
- 非代替性:身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替法がないこと
- 一時性:身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること
(3)身体拘束禁止の対象とはしない具体的な行為
当院では、肢体不自由や体幹機能障害があり残存機能を活かすことができるよう、安定した体位を保持するための工夫として実施する行為については、身体拘束等禁止の行為の対象とはしないこともある。
(複数人で検討した上で目的を明確にして、看護記録に記載する)
- 整形外科治療で用いるシーネ固定等
- 転落防止のための4点柵使用
- 点滴時のシーネ固定
- 自立座位を保持できない場合の車いすベルト
- 身体拘束をせずに患者を転倒や離院などからのリスクから守る事故防止対策(離床センサー等)
(4)身体拘束を行う場合の対応
緊急・やむを得ず身体拘束を行う場合は、医師をはじめ身体的拘束最小化チームを中心に十分な観察を行うとともに経過記録を行い、できるだけ早期に拘束を解除するように努力する。具体的に以下の手順に従って実施する。
1. 記録、集計、分析、評価を行い、その態様及び時間・日々の心身の状態等の観察を記録する。
2. 患者や家族に対しての説明を行う。
①身体拘束の内容・目的・理由・拘束時間又は時間帯・期間・改善に向けた取り組み方法を説明し、十分な理解が得られるように努める。
②身体拘束の同意期限を越え、なお拘束を必要とする場合については、事前に家族に患者の状態等を説明する。
③身体拘束要件に該当しなくなった場合には、速やかに拘束を解除するとともにご家族に報告する。
3. カンファレンスを実施する。
①チームメンバーが集まり3原則の要件全てを満たしているかどうかについて確認する。
②当院他診療科医師と情報共有して連携を行い、必要時に診察を依頼する。
③拘束による患者の心身の弊害や拘束を実施しない場合のリスクについて検討し、身体拘束を行う場合の拘束の内容、目的、理由、時間帯、期間等について検討する。
④早期の拘束解除に向けた取り組みの検討を行う。
(5)その他の日常ケアにおける基本方針
身体的拘束を行う必要性を生じさせないために、日常的に以下のことに取り組む。
- 患者主体の行動、尊厳を尊重する。
- 言葉や応対などで、患者の精神的な自由を妨げないよう努める。
- 患者の思いをくみとり、患者の意向に沿ったサービスを提供し、他職種協働で丁寧な対応に努める。
- 身体拘束を誘発する原因の特定と除去に努める。
- 鎮静を目的とした薬剤の適性使用に努める。
4.職員への教育
入院患者に係わる職員を対象に身体拘束の最小化に関する研修を定期的に行う。
- 毎年研修プログラムを作成し、年1回以上実施する。
- 新任者に対する身体拘束廃止、改善のための研修を実施する。
5.指針の閲覧について
当院での身体的拘束最小化対策の指針は、当院マニュアルに綴り、職員が閲覧可能とするほか、入院患者、家族の求めに応じて施設内にて閲覧できるようにすると共に、当院ホームページへ掲載する。
2024年4月1日作成